1870年代のグラハム・ベルによる発明以来、1世紀半にわたり使い続けてきた固定電話網が終焉(しゅうえん)のときを迎えつつある。はるか昔に生産を終了したデジタル交換機の耐用年数が限界に近づき、固定電話は今後10~15年の間にIP通信網など新しい環境に移行する必要がある。各国の電話会社が移行方法をめぐって苦慮するなか、巨大台風の襲撃で通信網が寸断されたニューヨークにおいて、携帯ブロードバンドで固定電話を置き換えるという画期的な計画が進んでいる。5月3日、米国の大手通信事業者ベライゾン・コミュニケーションズは災害で壊滅した固定電話網の破棄を申請し、ニューヨーク州政府は6月に承認した。固定電話はライフラインと呼ばれ、長らく市民の生命財産を守る重要な役割を担ってきた。同社は携帯電話網で代替サービスを提供するが、「固定電話の終わり」は全米で大きな注目を集めている。巨大台風で固定電話網が寸断きっかけは、