勘や経験に頼らず、データに基づく意思決定を下す重要性は広く理解されている。ただし多くの場合、それは「データ・ドリブン」ではなく「データ・インスパイアド」にすぎないと筆者は指摘する。自分なりの結論や思い込みを補強するようなデータしか目に入っていないのだ。そうした認知バイアスを回避して、真にデータ・ドリブンの意思決定を下すために、どうすればよいのだろうか。 「私たちは神を信じる。神以外はデータを示さなければならない」 私は統計学者として、統計学の先駆者W. エドワーズ・デミングのこの言葉が好きだ。しかし社会学者としては、多くの意思決定者がデータを追いかけることに執心しすぎだと、警告せざるを得ない。無知から脱することはできても、それで意思決定が向上することはない。