有事の際には、その国の弱い部分が露呈するとよく言われる。そして、まさに今、コロナ禍の東京五輪開催をめぐって、日本の大手メディアの報道の独立性が問われている。新型コロナウイルスの変異株がまん延し、3度目の緊急事態宣言が延長されようとしているのに、五輪中止を社説などで明確に打ち出せないでいる。 日本メディアはかねて、記者たちが排他的で閉鎖的な記者クラブを通じて、権力当局の情報に依存させられるような仕組みになっていると内外から指摘されてきた。しかし、東京の医療体制危機や東京五輪・パラリンピック大会の意義そのものが問われているのに、どうして信濃毎日新聞や赤旗、西日本新聞などほんの一部の新聞を除き、五輪中止を言えないのか。地方紙が狼煙(のろし)を上げる一方で、なぜ全国紙は及び腰なのか。 既に読者の多くが知っているとは思うが、朝日、毎日、読売、日経の大手4紙は2016年1月、4種類ある東京オリパラ大会