有名税という言葉を初めて見たのは、『薔薇の木に薔薇の花咲く』や『アトミック街』のいしかわじゅんの『漫画の時間』(新潮 OH! 文庫)でだったけど、その後もたびたび目にすることはあって、大体次のような意味だと解していた。 有名税(ゆうめいぜい)とは、有名であるが故に、知名度と引き換えに生じる問題や代償を税金に例えた単語[1]。実際に有名であるという理由で徴収される税金が存在するわけではない。(wikipedia より、強調引用者) (いしかわじゅんは、池上遼一から徴収していた[池上の絵を大友克洋と比較して批判した]と記憶している) ところが、永井荷風著・磯田光一編の『摘録 断腸亭日乗』(上下、岩波文庫) を読んでいたら、荷風が有名税と称して本当に税務署におカネを取られちゃった話が出ていた。 1941年(昭和16)年の日記から。 八月三十日。幸橋税務署より出向かれたき趣昨日端書(はがき)到着し