映画「リンカーン」善と正義の対立 このタイトルの意味は「善」は奴隷制度廃止、「正義」は戦争回避を意味する。映画「リンカーン」では奴隷制度廃止を優先するか、南北戦争を早く終わらせるかの二択に揺れるアメリカ議会を描いている。 現代に生きる我々は当然、奴隷制度廃止が優先に決まってると思うだろう。奴隷制度はどう考えても絶対悪であり、すぐにでも廃止しなければならない制度であるのは明らかだからだ。 アメリカの有名な政治哲学者にサンデルという人がいる。彼の哲学の特徴を一言で言い表すと「正義に対する善の優越」ということになる。「善は正義に優越する」ってどゆこと?これは南北戦争を例に取れば簡単に説明できる。 リンカーンの若いときからの政敵にダグラスという人がいた。ダグラスは奴隷制度に関しては州ごとに考えが違う。だからこの問題は棚上げにして、南北の分裂を防ぐべきだと主張した。それに対しリンカーンは奴隷制度は「