それは、クリスマス・イブのこと。 たまたま新宿に出る用があった私は、たいへんな人混みに遭遇し、思わずこう口走りました。 「きょうは…新宿はたいへんな人ですこと!」 …え?なんのことかおわかりにならない? これは『ベルサイユのばら』のなかで、フランスに嫁いだばかりのマリー・アントワネットが、当時の国王・ルイ15世の愛妾、デュ・バリー夫人にかけた言葉、 「きょうは…ベ…ルサイユはたいへんな人ですこと!」 をもとにした言葉ですわ! 『ベルばら』において、まだ幼いアントワネットは、国王の寵愛を受けているとはいえ元は娼婦だったデュ・バリー夫人に反感をもちます。そして、出自の卑しいデュ・バリー夫人に挨拶をすることは、フランス王太子妃としてのプライドが許さない、と彼女を無視し続けます。しかし、アントワネットの態度に激怒したルイ15世からの圧力に負け、ついに新年会の席で、デュ・バリー夫人に声をかけるのです