五月三日、憲法施行七十年目のこの日、護憲派メディアは平和憲法によって平和と繁栄がもたらされた七十年として持ち上げる一方、例えば朝日新聞は今はその憲法が「かつてない危機」にあり、その「根底には、戦後日本の歩みを否定する思想がある」と書いた。 戦後の繁栄は第一に大多数の日本人が額に汗して働いた結果であり、政治の大筋で選択を誤らなかったためでもある。また、平和は自衛隊の努力と日米同盟によって確保されたきたのが否定できない事実である。かつて講和条約や日米安保に反対した新聞が、恥ずかしげもなく「戦後日本の歩み」を否定するな、などとよく言えたものだと、その傲慢さに驚くばかりである。 翌日の社説では九条は「戦後日本の平和主義を支えてきた」だけでなく、「個人の自由と人権が尊重される社会を支えてきたのも九条」であり、それを変えれば「戦後日本は『骨格』を失う」とも書いている。小誌読者には突拍子もない発想だが、