筆者のように学術情報の動向そのものに興味を持っている者の間では有名な「リトラクションウォッチ (retraction watch)」というウェブサイトがあります。文字通り、学術論文が「撤回」されると、その理由や経緯などを報告する記事が掲載されるメディアです。 いちど掲載された論文が撤回されるということは、もちろんその論文に何らかの問題があることが見つかったということです。こうした 論文撤回 がニュースになるのは、理科系のジャーナル(学術雑誌)でのことがほとんどなのですが、2016年4月7日付の同誌は、哲学のジャーナルである論文が撤回されたことを伝えました。 哲学者アラン・バディウについての研究論文を掲載するジャーナル『バディウ・スタディーズ』は昨年秋、「クィア・バディウ主義フェミニズムに向けて」という特集のための論文を募集しました。アラン・バディウはフランスの有名な哲学者で、日本語に翻訳さ
![第二の「ソーカル事件」!?掲載された論文が撤回された理由](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/59d179c983c359103deabe7adb2f6dc8434358be/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fwww.enago.com%2Facademy%2Fjp%2Fwp-content%2Fuploads%2Fsites%2F14%2F2018%2F07%2F160413.jpg)