2010年9月9日のブックマーク (2件)

  • 最後の砦 新卒主義の六つの弊害・後編

    数年前、ガソリンスタンドに立ち寄った私は、そこで働いていた従業員の姿を見て息を呑んだ。 頭を下げて「レギュラーですか?」と聞いてきた彼は、中学校の同級生だった。 子供の頃、彼は大変な勉強家だった。 両親にテレビを禁じられ、勉強三昧の日々を送っていた彼は、当時流行っていた遊びもゲームもアニメも知らず、友達同士の話題に入れない事もしばしばだった。 中学卒業後、県内屈指の名門高校に進んだ彼と連絡を取り合う事はなかったが、人伝に、名門校を卒業し、東京の会社に勤めていると聞かされていた。 さすがは幼少の頃から努力してきた男だ。彼は、就職氷河期にも負けなかった。そう思っていた。 だが、その彼が今、私の車にガソリンを入れているのだ。 彼は私に気付いたようだったが、私はそ知らぬ振りを通すと、一言「ありがとう」を告げてアクセルを踏んだ。 後に知ったが、彼は無事に就職はできたもののブラックな企業に当たってしま

  • 最後の砦 新卒主義の六つの弊害・前編

    待ちぼうけ 待ちぼうけ ある日せっせと野良稼ぎ そこにウサギが飛んで出て ころりころげた木の根っこ 待ちぼうけ 待ちぼうけ しめた これから寝て待とうか 待てば獲物が驅けてくる ウサギぶつかれ 木の根っこ 待ちぼうけ 待ちぼうけ 昨日鍬取り 畑仕事 今日は頬づえ 日向ぼこ うまい切り株 木の根っこ・・・・ 北原白秋・作詞「待ちぼうけ」・・・・。 これは、中国の思想家・韓非子の説話が元になっている。 上手い具合にウサギを得た農夫は、今後も同じように上手く行くと思い込み、野良仕事を止めてしまった。しかし、ウサギは二度と獲れず、ただ田畑を荒廃させてしまっただけだった。 以前は、それで万事上手く行っていたとしても、時が変われば同じように上手く行くとは限らない・・・・・。 過去の習慣や制度を理想と考え、それを守り続ける事を説く儒教に対し、韓非子はかような例え話で戒めたという。 2000~2005年の