保守と革新、右翼と左翼など、とかく政治の世界は分類好きだ。とりわけ保守は「守旧」の意味で用いられる一方、最近では「保守の革新を」なんて言われることも。保守って何? 政治用語の保守を生んだのは、近代の始まりを告げたフランス革命とされる。「自由・平等・友愛」を掲げ、個人が対等に政治参加することを目指した革命だが、その過程で、王政を保とうとしたのが保守、王政を倒そうとした勢力が革新だった。そんな革新勢力に真っ向から反対したのが「保守主義の父」、エドマンド・バークだ。対岸の英国で書かれた「フランス革命の省察」に、こうある。 「物事をこれまでとは正反対にするというのも、安直さにかけては、すべてをぶち壊すのといい勝負である。前例のないことを試すのは、じつは気楽なのだ」(佐藤健志訳、PHP刊) いかにも頑固おやじが現状維持を掲げているようにみえるが、この書が後世に残ったのは革命の行く末を的確に見据えてい