"ボリュームのある写真集で、僕が購入を決めるきっかけになったのは後半の風景写真。ひとつの風景を、2つ、ないしは3つの写真で撮影している。しかし合成などによってパノラマ写真に仕上げられているというのではなく、写真と写真の間にはくっきり余白が与えられている。その複数の写真が元はひとつの風景だというのは、一見して理解できる。複数の写真から構成されているから、風景はどれも広々とした印象を受ける。世界は広い、しかし写真ではすべてを捉えきれない。写真の間の余白がその風景があくまで写真であるということを意識させ、写真では広い世界をすべて捉えることはできないという限界を思わせる。そう解釈できたから愉快に思い、それが写真集を買う動機付けとなった。"