<ヒラリーの新刊の回想録は、読者が抱えるナラティブ(ストーリー)を変える内容ではなく、政治家としてのヒラリーの限界を表している> 2016年の大統領選を振り返るヒラリー・クリントンの『What Happened』が9月12日に発売され、アマゾンのノンフィクション部門でベストセラーのトップになった。 予備選でオバマ大統領に敗れた2008年大統領選の後、再び立候補することを決意した経緯からショッキングな敗北、そしてトランプ大統領就任後の現在に至るヒラリーの回想録には、読者を驚かせるような告白や暴露はない。 筆者は、予備選から多くの候補者のイベントに足を運んで当サイトでレポートし、『トランプがはじめた21世紀の南北戦争』という本を書いたが、選挙で浮き彫りになったアメリカ社会の部族化やメディアの不公平さ、投票日寸前のFBIコミー長官の謎の行動など、重なる部分が多かった。 予備選のライバルだったバー