400ページほどある内容の詰まった本を、わずか1000文字で紹介する。 これはある種スポーツのようであるというか、腕力を問われることなのであります。なにをどう考えたって、本の内容を圧縮・取捨選択せざるを得ません。 短くまとめられるんなら、作家だって最初っから短く書くよねと述べたのは、太宰治だったでしょうか。書き手が必要と考えて書いた文を要約してしまうのですから、えらいことであります。 ではどこを捨ててどこを採ればよいか。その選択には、書評する者の着眼やものを見る目が隠れもなくあらわれてしまいます。そう、書評とは、対象である本を評するようでありながら、その実評する者こそが問われる、考えようによっては大変な作業であります。などと申せば、「なにをそんなオオゲサな」とお思いになるかもしれませんが、これホント。 評価者がなにを気にしているかこそがあらわになるもの、と言ってもよいでしょう。だから本当は