「バイオ企業の雄」「岡山の大地主」として全国に名を馳せた林原。架空の決算書で銀行を信用させ、約1300億円もの借入残高を抱えるまでに。バブル経済崩壊後の不良債権処理の教訓は生かされなかった。 「だまされた」「何でADR(裁判以外の紛争解決)を断念するのか」 2月2日、東京都内。バイオ企業の林原グループ(岡山市)が、事業再生ADRによる再建を目指して金融機関向けの債権者集会を午後2時から開催した。ADRは、債務の減免などを調整する私的整理の1つ。法的な手続きを踏まない分、再建を早く進められる。 参加者によると、午後3時頃に突然、林原側が会社更生法の申請に切り替えたことを伝えると会場は騒然となる。同社の債権を保有する28行のうち、知らされていたのは一部のみ。債権者集会の開催中、一方的に金融機関にファクスを流したのだ。同法を適用すると、債権放棄などによる損失が拡大する可能性もあり、債権額の小さい