「聾者は障害者か?」。 そう問いかけられたなら、私は思わず答えに窮してしまうだろう。 しかし、ある高校生が、この問いかけを力強く全国に向けて発信した。 生まれてからずっと耳が聞こえず、そうした環境で生きてきたことを、誇りに思っている女性だ。 今、「多様性」ということばが頻繁に世間で飛び交っている。 そのことばの意味を問い直すきっかけとして、ぜひ、彼女の文章を読んでほしい。 一ツ橋文芸教育振興会が主催する「全国高校生読書体験記コンクール」。 ただの読書感想文とは異なり、本を読んだことで自分の内面や生活にどのような変化が起きたかを2000字以内にまとめる。 タイトルも独創的であることが求められるため、個性的で、高校生が書いたとは思えない力作も少なくない。 今回は全国から8万3538の体験記が寄せられ、8つの作品が入賞。 そうしたなかで最優秀の「文部科学大臣賞」に選ばれたのが、筑波大学附属聴覚特