「『政府が経済を管理するべき』という社会主義への郷愁がEU諸国にあるのではないか。国の関与が強い再生可能エネルギー政策にそれが現れている」。経済記者である筆者が取材した日本の経済団体が主催したエネルギー政策のシンポジウムで、アメリカの研究者が皮肉を込めた感想を述べた。英国のシンクタンクの研究者は苦笑しながら同意して、「政治家は経済合理性を考えない」と応じていた。 短いやり取りだが、再生可能エネルギーをめぐるいくつかの論点が織り込まれている。このエネルギーには「高コスト」という、乗り越えなければならない問題がある。しかし、イメージの良さから政治的な関心を呼びやすい。その結果、政府がその問題を補助金という安易な手段で解決する振興策を行ってしまう。 そして日本でもこれまで以上に、補助金による大規模な支援が始まろうとしている。 民主党・菅政権は「再生可能エネルギー特別措置法」の実施を目指している。