【ニューデリー=武石英史郎】バングラデシュからの報道によると、貧困救済で知られるグラミン銀行を創設し、ノーベル平和賞を受賞したムハマド・ユヌス同銀総裁(70)が2日、同国の中央銀行によって解任された。地元テレビなどが伝えた。 解任理由は明らかにされていないが、本来の定年年齢である60歳を超えているのが一因として報じられている。同氏はかねて、汚職や政争に明け暮れるバングラデシュの既存政界に批判的で、2008年末の総選挙では、新党創設を模索。総選挙で勝利したハシナ首相率いる現政権から警戒されていた。 昨年末、ノルウェーのテレビ局がグラミン銀行に90年代、不透明な資金運用の疑いがあったと報じると、政権はユヌス氏追い落としの動きを強めていた。 経済学者だったユヌス氏は貧困者への無担保少額融資制度(マイクロファイナンス)を考案。83年に同銀行を立ち上げ、その功績から06年にノーベル平和賞を受賞