桃太郎や一寸法師、鶴の恩返しといった昔話は、誰もが一度は読んだことがある王道の物語。正義が悪をこらしめるという分かりやすいストーリー展開は、人生の教訓として使われることも多い。しかし、そこに「ミステリー」という要素が加わると、昔話はさらにおもしろく、奥深くなる。 『むかしむかしあるところに、死体がありました。』(青柳碧人/双葉社)は、昔話×ミステリーという斬新な視点によって描かれた、本格派ミステリー小説だ。インパクト抜群な書籍名が目を引く本作にはおなじみの昔話が5作おさめられているが、「一寸法師の不在証明」や「花咲か死者伝言」、「密室龍宮城」などといったスリリングなタイトルにハラハラさせられる。 ハッピーエンドでめでたく締めくくられない“大人向け”の暗黒昔話には、人間の心の闇がまざまざと映し出されている。 ■花咲かじいさんを殴り殺した真犯人は誰? 心優しい老夫婦と欲深い意地悪な老夫婦が登場