物体を手で押す力は,手を形作っている有機分子間に働くファン・デル・ワールス力であり,それが静電気力(電気双極子の相互作用)であることと,それが 変位に比例する力であること(フックの法則が成り立つこと)を説明する。 分子間力の半分(引力の部分)は,古典論でも説明できる。原子・分子の話だから本来量子力学を使わなければならないのだが,量子力学を使って計算した結 果が,この場合,古典論で計算した結果と一致するのである。ここでは,古典論を使って説明する。その方がきちんと式を追えるので,納得してもらえると思 う。量子力学を使った計算結果は文献2などにあるので,それを読んでほしい。 簡単のため,分子の大きさに比べて大きな距離Rだけ離れた2つの一原子分子つまり希ガス分子間に働く力を考える。極性を持たない一般の分子についても, 原理的には同様に説明できる。 もし,分子内の電荷分布が剛体的ならば,分子間の力は