ネタバレ感想 1937年発表 (小倉多加志訳 ハヤカワ文庫HM5-1) [紹介] 出版社に勤務するエドワード・スティーヴンズは、届いたばかりの作家ゴーダン・クロスの新作原稿を見て愕然とした。添付されていた十九世紀の毒殺犯の写真は、彼の妻マリーの姿としか思えなかったのだ。そしてその夜、訪ねてきた隣家のマーク・デスパードは、先日亡くなった伯父のマイルズ老が毒殺されたという疑惑――十七世紀の毒殺魔ブランヴィリエ侯爵夫人の扮装をした犯人は、密室から煙のように消え失せたらしい――を語り、墓を暴いて死体を調べるのに協力してほしいという。だが、厳重に密閉されたはずの納骨所を開けてみると、マイルズ老の棺は空っぽだった。そしてエドワードの脳裏には、妻に対する恐ろしい疑惑が浮かび始め……。 [感想] シリーズ探偵が登場しないにもかかわらず、しばしば代表作の一つに挙げられる、傑作と名高い本書ですが、『三つの棺』