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ブックマーク / kimyo.blog50.fc2.com (4)

  • ユーモアと幻想  エルクマン-シャトリアン『怪奇幻想短編集』

    エルクマン-シャトリアンは、アルザス・ロレーヌ地方出身である、エミール・エルクマンとアレクサンドル・シャトリアンの二人からなる合作作家のペンネームです。19世紀後半に、主に地方色豊かな大衆小説で人気を得ました。 邦では、彼らとしては余技だった、短編怪奇小説の書き手として認識されているようです。とくに平井呈一の訳になる『見えない眼』(『恐怖の愉しみ』創元推理文庫収録)は、読者に強い印象を残しています。ただ、邦訳短編の数は数編にとどまり、彼らの怪奇短編を俯瞰するには難しい状況が続いていました。 今回、同人出版という形ではありますが、エルクマン-シャトリアン『怪奇幻想短編集』(小林晋訳 ROM叢書)が刊行されたことは、じつに意義のあることと言わねばなりません。 以下、主だった作品を紹介していきたいと思います。 『謎のスケッチ』 経済的に困窮していた画家の「私」は、ある夜、衝動に突き動かされてス

    ユーモアと幻想  エルクマン-シャトリアン『怪奇幻想短編集』
  • シニカルな視線  レイ・ラッセル『血の伯爵夫人』

    近年復刊された〈異色作家短編集〉にも収録されているアメリカの作家レイ・ラッセル。かって「プレイボーイ」誌の編集長をつとめたというだけあって、その作風は非常に多彩かつ技巧的です。ただ、アクの強い他の異色作家と比べてしまうと、インパクトに欠ける印象があるのは否めません。 実際、〈異色作家短編集〉の『嘲笑う男』の収録作品を読んでみても、ゴシックホラー『サルドニクス』以外は、どうもパッとしない感じです。 しかし、邦訳されているもう一冊の短編集『血の伯爵夫人』(猪俣美江子訳 ソノラマ文庫)を読んでみると、「意外」といっては失礼ですが、なかなか味わいのある作品が並んでいました。それでは以下、収録作品について解説します。 『彗星の美酒』 音楽に一家言ある「わたし」が手に入れたある古い書簡。それは19世紀末、イギリス人スタントン卿が、ロシアに滞在した折りに書かれたものでした。そこに登場する天才作曲家、チョ

    シニカルな視線  レイ・ラッセル『血の伯爵夫人』
  • ループものライトノベル4題

    「時間SF」は、個人的に大好きなジャンルで、この手の作品は極力読むようにしています。なかでも、時間の繰り返しを描く「ループ」ものには、特に目がありません。最近のライトノベルで、この「ループ」ものが多いということを耳にはさんだので、いくつか評判のよいものを読んでみました。 結果としては、なかなかの収穫だったと言えるかと思います。それでは以下、いくつか紹介していきましょう。 桜坂洋『ALL YOU NEED IS KILL』(集英社スーパーダッシュ文庫) 地球人は、意思の疎通すら困難な異星人「ギタイ」との戦争を続けていました。初年兵キリヤ・ケイジは、初の戦闘で死亡していまいますが、気が付くとなぜか意識を取り戻していました。しかも、何とそこは出撃前の朝。出撃して死亡するたびに、同じ朝に戻ってしまうのです。過去へのループにとらわれたと気づいた彼は、ループを利用して戦闘技術を磨いていきます…。 同じ

    ループものライトノベル4題
  • 哀しき寓話  チャールズ・ボウモント『残酷な童話』

    〈異色作家〉のひとりとして、また、オムニバスドラマ『ミステリー・ゾーン』の脚家としても知られるチャールズ・ボウモント(ボーモント)。 〈異色作家短編集〉の一冊として刊行された『夜の旅その他の旅』以来、数十年を経ての邦訳となる短編集『残酷な童話』(仁賀克雄訳 論創社) は、期待に違わない出来です。 『残酷な童話』 精神状態のおかしくなった母親とともに暮らすロバート。男性を憎む母親の手により、ロバートは女の子として育てられます。外界との接触を断たれたロバートは成長するにつれ、違和感を抱き始めます。しかし母親は強圧的な態度で、彼を支配し続けようとします…。 かって『ロバータ』という題で訳されていたこともある作品です。主人公の実際の性別を隠すような「仕掛け」をせずに、異常かつ残酷なシチュエーションをあくまで淡々と描写するというところに、この作品の凄みがあります。レイ・ブラッドベリの『びっくり箱』

    哀しき寓話  チャールズ・ボウモント『残酷な童話』
    ext3
    ext3 2008/09/16
    あの訳文からは訳者の悪意しか感じない。わざとでもなきゃあんな酷い日本語は出来ない
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