OPINION インフレに庶民はどのように向き合ったか 「社会の存続基盤を転覆するうえで、通貨を堕落させること以上に巧妙で確実な手段はない」 J・M・ケインズ(経済学者 1883-1946) 「脱デフレ」を唱える安倍政権の登場でインフレが話題になっている。アゴラ上では経済学者の方々がその意味や可能性を検証している。 私は一介の記者であり、中途半端な知識で専門家の方々にまざった議論に参加しても意味がないだろう。インフレという現象に、庶民がかつてどのように向き合ったのか。過去の取材から証言を紹介してみたい。太平洋戦争の敗戦直後と、70年代のオイルショックという異常なインフレを取りあげる。 インフレは物価の持続的な上昇と定義される。今の日本ではデフレが続いて、多くの人がインフレを体験していない。記憶は消えてしまうものだから、ここに記す意味があるだろう。 「デフレは悪でインフレは善」。こ