命に関わるほどではなかったが手術で三週間ほど入院した経験、また最近親を看取ったりしたこともあり、医療関係の本に関心を持つというか、身につまされる感がするこの頃で、目にした本書を手に取った。 第一章が、ジャーナリストである著者の膠原病闘病記である。著者の闘病は1964年のことであるが、ビタミンCの多量摂取と、積極的な情緒を呼び覚ますために"笑い“療法を実践する。ビタミンC摂取法が現在の医療水準に照らしてどうなのかは良く分からないが、著者もその治療法自体を普遍化して論じている訳ではない。主眼は、精神状態が身体の化学作用に影響を及ぼすこと、心身の再生能力を過小評価してはならないこと、患者自身の生きる意欲が大切なことなどを語っていく。 二章以下は、著者個人から少し離れて、一般的な考察が進められるが、決して具体性を離れないので、大変読みやすい。例えば、プラシーボの効果について、また、パブロ・カサルス