やたらと交友関係の豊かな友だちが年に一度、山と海があるところに大勢の人を呼ぶので、都合がつけば私も行く。何度か見た人と初対面の人と、この場の外でもつきあいのある人がいる。みんなで炭に火をつけていろんなものをてきとうに焼いて食べ、小さなグループが散発的にでき、それが変化する。みんなが楽しそうに動き、年齢や性別に偏らず作業が進んでいくところを私は気に入っていた。 何度か見たことのある、たしか佐藤だとか、そういった匿名的な名前の男が口をひらく。好きな仕事をして評価されて恋人や親しい人たちがいて経済的にも安定してたら幸せだよねえ。一般的には、と誰かが相づちを打つ。他人にはわからないことがあるし病気とかの可能性もありますけどねと別の誰かが言う。佐藤はうなずく。そして但し書きめいたせりふを口にする。これから僕はあまり愉快でない話をする。そこにはこの場の主催者と私とほかに三人ばかりの人間がいた。誰も席を