音楽が傷ついた1年 もしも2020年にインターネットがなかったら。コンテンツを無料で見られるところで公開するなんてありえない、という時代だったら。それはもう大混乱だったと思う。新曲をプロモーションする場はテレビにしかないのでヒット曲は極端に偏り、ライブ興行のできないインディーズバンドが苦境に立たされ、ファイル交換ソフトで新曲のリリースなんてことになってたかもしれない。たとえばいまが2000年代だったら。 幸いなことに2020年になるまでに、音楽が人々に届けられる環境のDXはかなり進んでいた。音楽配信はサブスクリプションが標準化され、今年は複数の大物アーティストの楽曲がサブスクリプションで配信(「解禁」という言い方は好きじゃない。誰も禁止なんかしてないもの)されるようになり、YouTubeにアップされたPVは、作り込まれたアニメ調で情報量が多く、それを深読みするファンの存在もあってコンテンツ