先週、父が亡くなった。青森の山間の村生まれの67歳で、死因は膵臓癌だった。 本当はここに父との思い出や、どんな人生を歩んだ人かを書き連ねたい。どんな風に闘病して、何が好きだったかを記録したい。人は死後硬直によって肉体が固まるが、同じように思い出も固定されてしまう。死んだ後、お父さんとの思い出は増えずに、忘れていき厳選され固定される。 母親が周りの人に、父が病気だったことを伝えていなかった。そのため、一般焼香にやってきた人達全員に死因を説明することになった。 最初は「数年前から闘病しており、北関東の大学病院でセカンドオピニオンを受け、陽子線治療を受けて余命も伸びた。直前まで元気だったが最後は食欲が落ちて、みんなの腕の中で在宅介護されたが、急に息が苦しくなって亡くなった…云々」などと、最後の数年間を細やかに丁寧に言葉を紡いでいた。 しかし、最後は「数年前から闘病していたが、本人は死ぬ直前で元気