付録 『バカの壁』編集者の値段 表彰式での疑問 2001年10月、私が『水俣病の科学』で毎日出版文化賞を授与された翌々年、今度は養老孟司が『バカの壁』でベストセラー賞にあたる出版文化特別賞を授与されました。毎日出版文化賞は著者と出版社の両方にあたえられる賞ですが、養老孟司が著者として賞状を受けたあと、出版社を代表して新潮社の社長が賞状をもらいました。 私はこの時、非常に奇異な感じを受けました。この本の出版の経緯を知っている私は、このベストセラーを表彰するならまず編集者を、つぎに著者を表彰すればよいのに、なぜ二人も表彰するのに肝心の編集者がいないんだという気持ちです。 まあ表彰は代表者が受ければよいとしても、会社はこの編集者の貢献に報いるのにいくら出すだろうかと想像してみました。大盤振る舞いしたとして社長賞50万円でしょう。それでよいのかという疑問がこの項を書く気になった動機です。 書籍の企