豊臣秀吉は6本指だった、という逸話があるのはご存知だろうか。これは、よくある偉人の超人的伝承とはちがって(たとえば、聖徳太子が一度に複数の人の話を聞き分けた・・・とか)、それなりの根拠をもった逸話である。この説の起こりは、織田信長時代にキリスト教布教活動のため来日していたポルトガル人の宣教師、ルイス・フロイスが編纂した『日本史』によるもので、その中に次のような記述がある。 ルイス・フロイス『日本史』豊臣秀吉編 I 第16章 「優秀な武将で戦闘に熟練していたが、気品に欠けていた。身長が低く、醜悪な容貌の持ち主だった。片手には六本の指があった。眼がとび出ており、支那人のように鬚が少なかった。極度に淫蕩で、悪徳に汚れ、獣欲に耽溺していた。抜け目なき策略家であった。」 これ以降、海外では、この「6本指説」が広く信じられてきたが、日本では、フロイス以外にこの点にふれる史料がないことや、フロイスの記述