和牛オーナー制度による投資で、全国に3万人の会員を持つ「安愚楽(あぐら)牧場」(栃木県那須町)が、経営状況の悪化により配当を停止した。昨年の口蹄疫問題や福島第1原発事故によるセシウム汚染、その後の風評被害による牛肉価格の下落が原因という。負債総額は3月末時点で619億8705万円。過去25年間で、同社に約1億円をつぎ込んだ実業家の男性(51)が本紙の取材に応じ、思いをぶちまけた。 男性が情報誌を通じて安愚楽牧場を知ったのは、バブル景気が始まる1986年のことだった。映像制作の仕事に忙殺される毎日のため、株や外国為替のような情報収集を求められる投資は難しい。そこで、繁殖牛のオーナーとなり、生まれた子牛を同牧場が買い取る投資ビジネスに着目。安定的に実質10%の利息(※正確には子牛予定売却利益金)を得られる仕組みにひかれたという。 「とりあえず2口400万円を預託したところ、1年後の4月末日