人権問題を考えるとき気を付けることは、人権とは普遍的なものだということだ。陰画的にいうなら、ナショナリズムの枠組みのなかで人権が問われているときには、人権を希求するかに見えて、巧妙に転倒されたナショナリズムに陥ってしまう危険性に注意を払うべきだろう。特に、日本の人権問題を日本の権力構造や社会構造として問うとき、それは具体的な条件においては例えば日本国の法のありかたとの関連で問うときには十分な有効性をもつが、いつしか、日本の権力構造や社会構造を批判するがために人権がその批判の道具となっているなら、批判という構図でありながら、現実的には日本にしか関心が限定されていない極めてナショナリズムの傾向を帯びる。また、日本の人権が個別の他国との関連で問われるときも、その傾向が強まる。しかし、人権とは普遍的なものであり、普遍の光の下で、日本を越えた世界の全体のなかの市民としてまず本質的に問われるものだ。そ