この本の著者は金谷武洋。カナダで25年日本語を教え続けた先生です。 先週は、母語の重要性についてご案内しました。 今回は、以下の文章から、日本語、そして敬語の特長を掘り下げます。 「英語に代表される他動詞のSVO構文を基本とする言語の根本的な問題は、その構文が発想として「SとOの分離による二元論」そして「S(主語)のO(目的語)に対する支配」へと繋がるということにあります。 さらに、Sには「力」とともに「正義」がしばしば与えられてしまうのが一番危険なのです。英語を始め西洋の言語の話者が何か失敗をしても謝らないのはそのためでしょう。自分は力と正義が与えられるSの位置を常に保っていたいと思うからです。(p.224~225)」