昨年末にまんが「げんしけん」の最終巻がでてしばらく経ったのだけど、この作品について何か書こうと思いながらこんな時期になってしまった。雑誌連載の終了から数えれば一年だ(僕は単行本でしか読んでいなかったけど)。このマンガについて書こうと思えば、焦点があたるのは主人公の笹原ではなく脇役の斑目だと思うのだが、そこには固有の語りにくさがある。 人が一人で社会と向きあうのは相当に苛酷だし、そこにはなんらかの「中間集団」(この言葉は上山和樹氏(id:ueyamakzk)のblogで知った言葉だ)が必要になるだろう。それは例えば家族、友人、恋人であり、職場や学校、あるいはネット上の仮想の繋がりかもしれない。いずれにせよ、人は中間集団というステップ(それを共有された幻想・夢と言ってもいいけれど)を踏まえなければ世界に対面できるものではない。極端な言い方をすれば、人が生きていくということは、どのような他者との