この冬ではじめての雪が降っている。夜が明けたら、降り止んだ雪のまぶしさで、窓の外が白んでいたらいい。 幼い頃、夜から雪が降り続いていた翌朝、雪の降りつもった明け方は、すべてのものの距離が消え失せていた。あまりの静かさは不気味すぎて、いったん目が覚めたら再び眠ることなんてできない。布団にくるまってじっとしていると、いつもなら聞こえない音も聞こえてくる。家から少し離れたところにある駅に、電車が近付いてきたらしい、プラットホームに近付くときに鳴らす警笛が、細く長く聞こえる。それから、外の庭木からばさばさと鳥が飛び立つ音、その鳥が啼く声は、発生点を移動させながら消えていく。降り積んだやわらかな雪は、あたかも余分な音をわざわざ選んで打ち消してしまっているかのようで、わたしの耳には、近さと遠さがうまく聞き取れなくなる。 小学校へと通う道は、田園地帯を一直線に抜けていく。アスファルトで舗装された一本道も