バリ島は環太平洋造山帯に属する小スンダ列島の西端に位置している。島の東にはロンボク海峡を挟んでロンボク島があり、西にはバリ海峡を挟んで大スンダ列島に属するジャワ島がある。バリ海峡のもっとも狭い所は3キロほどであり、バリの海岸からはジャワ島の姿形をとらえることができる。 このような地理的関係にあるバリ島は、広くはインド洋を中心にフィリピンから紅海までをつなぐ「1つの海」の周縁に位置し、他の東南アジア地域と同様、古来より、この広大な海における交易を介した人と物、言葉と思想の移動、交通の一地点となった。そして、この交易を統制するとともに、人々の生活の小宇宙を形成する王国が誕生し、バリ島の「歴史」が始まった。 アグン山(左)とバトゥール山(右のカルデラ内) バリ島北側からの鳥瞰 バリ島の面積は5,633km2であり、これは東京都の面積の約2.5倍である。島の北部を東西に火山脈が走り、バリ・ヒンドゥ