本件は、自然損耗および通常の使用による損耗についての原状回復を賃借人の負担とする特約を含む賃貸借契約が、消費者契約法施行後に更新された場合について、その特約が消費者契約法10条により無効とされ、敷金の全額返還が認められた事例である(京都地方裁判所平成16年3月16日判決)。 裁判所ホームページ「裁判例情報」掲載 一部認容 事件の概要 X:原告(賃借人、個人) Y:被告(賃貸人、個人) 1 Xは、平成10年7月にYから共同住宅の一室を賃借して入居をした際に、敷金として20万円をYに預託した。この賃貸借契約においては、期間が同月1日から翌年6月までとされ、また月額賃料は、5万5000円とされた他、退去時の原状回復について、次のような特約がなされた。すなわち自然損耗および通常の使用による損耗についてXが原状回復義務を負担し、また敷金は、建物明け渡し時にXが賃貸借契約に関しYに対し負担する債務を控