いい出会いがあれば結構なことだけど、この人間社会では、そうでないことも少なくない。そこが悩ましいところ。
その日、私は東京から離れたところにある とある会社の工場にいた。 用向きは、特殊清掃の事前調査。 そこで、作業員の一人が機械設備に巻き込まれて死亡。 血まみれとなった機械設備を清掃するための調査だった。 最初は、電話での問い合わせだった。 しかし、その機械設備について素人である当方が言葉で把握できることは少ない。 結果、具体的な現場の状況が想像できず。 更には、仕事として請け負えるものかどうかも判断できず。 とにかく、現場を見ずしては どうにも話を進めることができず、結局、現地調査に出向くことに。 ただ、場所は遠方で、かかる時間も交通費もバカにならない。 私は、普段は無料で行っている現地調査を今回は有料とし、更に、当方から辞退する可能性も充分にあることを承諾してもらい、現地調査の日時を約した。 訪れた現場は、ある製品の原材料をつくる大きな工場で、同じ形態の機械が整然と並んでいた。 機械は、
「金は払わないからな!!」 電話の向こうの依頼者は、恫喝するかのように大きな声をあげた。 「フッ・・・」 返事をするのもバカバカしくなった私は、失笑して黙り込んだ。 ことの経緯はこう・・・ 相手はアパートの大家。 所有するアパートの一室で住人が孤独死。 生活保護を受けていた故人は社会との関わりが少なく、遺体はかなりの腐乱状態で発見。 賃貸借契約には連帯保証人も立てておらず、結果として、部屋の復旧は大家が負うしかなかった。 しかし、大家はそれが承服できず。 「この部屋だけが廃墟になるのさえ諦めれば問題ない」 と、アパート住人からの苦情を無視。 異臭が出ようが、虫が出ようが、 「ニオイなんてそのうち消えるし、虫もそのうちいなくなる」 と、何日も放置。 しかし、それで問題が片付くわけはなく、事は深刻化するばかり。 いくら言っても腰を上げない大家に堪忍袋の尾を切らした住人達は、 「出て行く!」「引
依頼者は、若い女性。 依頼の内容は、ゴミの片付け。 現場は、女性の自宅アパート。 女性は、電話で色々と訊いてきたが、現場を見ないで答えられることは限られている。 私は、現地調査の必要性と説明し、女性はそれを理解。 ただ、当日の待ち合わせ場所には、アパートではなく少し離れた公園を指定。 そこから、女性に、それなりの事情があることを感じた私は女性の指示に従い、調査日時を約束した。 その日時、約束した公園に女性は現れた。 仕事は休みのはずなのに、キチンとしたスーツ姿。 作業服姿の中年男とスーツ姿の若い女性が二人でベンチに座っている光景を思い浮かべると、明らかにミスマッチ。 話が長くなりそうな雰囲気はあったけど、私は、立ち話で通すことにした。 誰しも、アカの他人に自分の身分や経歴、個人情報に関することを知られるのは抵抗があるだろう。 隠し通せるものなら隠し通したいもの。 女性も同様のようだったが、
いや~!本格的に暑くなってきた! 冬の寒さもツラいけど、夏の暑さもなかなかくる。 鬱々と精神を蝕む冬と酷々と肉体を虐める夏と、どっちがいいだろう・・・ やはり、朝のカーテンを開けたとき、明るい空がある夏の方がいい。 冬は、「今日も一日頑張らなきゃな・・・」だけど、 夏は、「今日も一日頑張るぞ!」と思えるから。 冬は、一日の始まりのカーテンを開けることに恐怖感すら覚える。 部屋のカーテンも心のカーテンもずっと閉めっぱなしで、一人静かに引きこもっていたいと思う。 それに比べれば、夏朝の疲労と暑さなんて軽いもの。 汗と脂にまみれても、悪臭と汚物にまとわりつかれても、気持ちが立っていればなんのその。 泣くほどの辛抱はいらない。 そんな私の仕事は、いつどこで発生するかわからない。 毎日、決まった時間に決まった場所で決まった内容の仕事があるわけではない。 行く先々も、騒々しい都会もあれば、のどかな田舎
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