特効薬がない場合、そのこと自体への不満もあって、検証が不十分な薬であっても「効く」というウワサがあると「飲んでみたらいい」と思いがちだ。しかし内科医の名取宏さんは「効果を誤認することはよくある。検証不十分な薬にはリスクもあるため、判断は保留すべきだ」という――。 ■効果に乏しい薬が存在した理由 現在、薬が承認されるまでには長時間かけて検証が行われます。新薬候補の物質が承認に至る確率は数万分の1ともいわれるほどです。 基礎研究や動物実験で一定の安全性や効果が期待できる新薬候補の物質を絞り込んだのち、通常は少数の健康な成人を対象に安全性や薬物動態を評価する第1相試験、比較的少数の患者さんを対象に安全性と有効性を評価する第2相試験、多くの患者さんを対象にした第3相試験を経て、十分な安全性と有効性が確認できた薬だけが承認されます。市販後調査といって承認・発売された後も検証は続きます。いったんは保険