農業と民主主義の関係 - 奥野 晋一朗 TPPをめぐる論議が沸騰している。TPPへの参加に積極的な論者の意見には、一様に農業という人口の上でも富の上でも一握りの地位と貢献しか占めていない分野が過剰に影響力を政治に行使している現状への怒りが見受けられる。逆にTPPへの反対意見には、そのような意見を産業的でビジネスライクな考えを農業という「聖域」に押し付けようとする部外者たちに対する嫌悪感が見受けられる。 民主主義は、都市的なものである。そして農業は都市的な論理からまったくかけはなれた世界に住む世界である。農家の側からすれば、経済の按分を山頂から眺めるかのごとく割合で示し、その総合的な評価によって来るべき道筋を決めるというのはナンセンス以外の何者でもないだろう。TPP賛成派に見られるような「都市のバイアス」を通して、TPP反対派の農家の姿勢を既得権にしがみつく圧力団体と見るのはやはり一つのバイ