西日本「記者28歳『私は部落から逃げてきた』」4月19~26日(全8回) 「部落の子なのに賢いね」――。朝倉支局の西田昌矢記者は小学校高学年のころ、友人の祖母にそう言われた。西田記者は中国地方の被差別部落出身。それまでは、部落問題など「昔話」だと思っていた。「部落」の文字を見るたびに感じる恐怖や焦りを、胸にしまい込みながら生きてきたという。 初任地の長崎総局時代に、被爆者や入管施設に長期収容されている外国人への取材を重ねたことが連載の契機になった。西田記者は思いを打ち明けてくれる当事者に対し、「被差別部落を出自に持つ自身の経験を棚に上げて取材を続けることに後ろめたさを感じた」。連載で出自を明かそうと決意を固めた。 結婚差別や出自を他人に伝えることへの恐怖など、部落出身者が社会の偏見に苦しんできた様子を当事者目線で取り上げた。西田記者自身の家族に取材。部落解放運動などに取り組み、組織の第一線