「反哲学入門 (新潮文庫)」 木田元・著 (Amazon.com) 何年も前のことだが、テレビをつけたら読書番組をやっていた。1冊の本を取り上げて、何人かで語り合う趣向の番組だ。たまたまその日取り上げられていられたのが、この木田元・著「反哲学入門」だった。ところでその日のゲストの1人だった若い男性タレントは、この本を与えられたときに、「うわー。どうしよう」と思ったんだそうな。 なぜ「うわー」と思うのか。わたしは少し、不思議に感じた。でも多分それは、哲学の本なんか読んだことがないし、読めた代物ではない、とこのタレントさんが頭から決めてかかっていたからだろう。読めもしないものを、番組のディレクターが押し付けるわけは無い。だがこの人にとって、哲学は自分に全く無縁のものなのだった。 そう思いこむようになったのは、このタレントが無学だからでも、頭が悪いからでもない。哲学業界の方が悪いのだ。もっと言え