豪雨の犠牲になった広岡武治さんが運転していた軽トラック。妻の絹恵さんが見つけた=12日午後、兵庫県佐用町佐用、川田写す 兵庫県佐用町を襲った豪雨は、住民を守るため水害対策に向かおうとした町職員の命も奪った。携帯電話で発せられた最後の言葉を頼りに、妻は水没した車を6時間かけて捜し出した。「責任感の強い人だから『おれが行かなければ』と思ったのでしょう。お疲れ様と言ってあげたい」。妻は家族4人で撮った写真を見つめ、亡き夫に語りかけた。 「もう、だめかもしれない」 佐用町で猛烈な雨が降り続いていた9日午後9時ごろ、町営健康福祉施設の施設長を務める広岡武治(たけはる)さん(54)から突然、兵庫県西宮市に住む長女(24)に電話がかかってきた。 長女はたまたま訪ねてきていた次女(21)とともに、すぐに佐用町の自宅にいた母の絹恵さん(55)に電話し、泣きながら伝えた。「お父さんの車が水にのみ込まれ