ユーハイム 安藤明 60歳 お菓子にもワールドカップがある。 フランスで2年に1度開かれる「クープ・ド・モンド」。1991(平成3)年の第2回大会で、初めて日本人チームが優勝した。 フランスの調理・製菓学校の名門「ル・コルドン・ブルー」日本校で教えていた杉野英実。東京の「ホテル西洋銀座」で、パリの名店「ペルティエ」のシェフ、ミッシェル・ブローに師事した林雅彦。そして、そのペルティエで修業経験のある安藤の3人。いずれもフランス菓子の何たるかをよく知る面々だった。 競技は3部門でケーキやチョコレート、氷の彫刻、あめ細工などを審査し、総合得点で優勝が決まる。 本場フランスの審査員が、辺境から来たサムライたちが披露したオリジナルのお菓子に目を奪われ、最高得点をつけた。 チョコレートで包まれたピスタチオのムースの中に、木イチゴのソースが仕込まれている。ナイフを入れると、ピスタチオの緑の断面から赤いソ