佐賀や長崎,福岡など北部九州を中心とした西日本ではサバを生で食べる習慣があるが,関東など東日本では火を通して食べる。なぜか? 「九州のサバは新鮮だから」。それも正解かもしれないが,寄生虫アニサキスの種類の違いが原因ではないか−という新説が最近の研究で浮上している。さて,真相は? 五島列島沖などで捕れたサバが取り扱われる唐津市の魚市場。1年を通して水揚げされるサバは脂が乗って,刺し身がうまい。魚市場の担当者は「ここのサバのアニサキスは内臓にしかいない。まな板や包丁の水洗いをしっかりすれば,刺し身も安心して食べられます」と太鼓判を押す。 アニサキスは,クジラやイルカの体内で成虫になり産卵する。卵はフンとともに海中に排出され,オキアミなどを通してサバやアジの内臓に寄生。その魚を人が食べ,生きたアニサキスが体内に入ると強い嘔吐(おうと)や腹痛に襲われる。アニサキス症と呼ばれる食中毒だ。 アニサキス