前々回、「文体について(その1)」と題した文章を掲載するまでに、ひと月あまり間があいた。更新が滞ったのは、その間、ちょっと気の張る原稿を書いていたためだった。気の張るというのは、柄にもなく日本の古典文学をテーマにした原稿だったことにくわえ、同じテーマの執筆予定に丸谷才一の名前が挙げられていたからだ。丸谷さんと同じ誌面に原稿を書くとなると、そりゃあ緊張しますよねえ。もしかすると丸谷さんの目にふれるかもしれない、そう思うとペンを持つ手もふるえる。いや、ペンは持ちませんが、まあちょっと居住まいをただす、という感じはある。ほかにも、北村薫さんとか中沢けいさんとか、錚々たる方々が寄稿されるとのことなので、わたしなど山を賑わす枯木の役割にすぎないとはいえ、いつものように気楽に書きとばすというわけにはゆかない。ようやっと書き上げて送稿し、しばらく気が抜けた状態だった。 気を取り直しブログの更新に取りかか