薬や液晶テレビなどの製造に欠かせない、有機化合物どうしを結び付ける新しい化学合成の手法を発見してノーベル化学賞を受賞した、アメリカ・パデュー大学名誉教授の根岸英一さんが今月6日、インディアナ州で亡くなったと大学が発表しました。85歳でした。 根岸さんは旧満州の出身で、東京大学工学部を卒業後、繊維メーカー大手の「帝人」を経てアメリカにわたり、パデュー大学の教授などを歴任しました。 根岸さんは、合成することが難しかった構造が異なる有機化合物どうしを結び付ける「クロスカップリング」と呼ばれる反応の研究に取り組みました。 「クロスカップリング」は昭和40年代ごろから本格的に研究が始まり、当時は化学反応を促す「触媒」としてニッケルという金属などが主に使われていましたが、根岸さんはパラジウムという金属を触媒にしたうえで、合成したい有機化合物の一方に「亜鉛」を加えると、安定して効率よく合成することができ