鹿児島市の路面電車(市電)が運行を開始したのは1912年(大正元年)のことである。それから100年以上を経過した現在でも、市民や観光客の交通手段として日常的に使われている(図1)。 この路面電車を蓄電池で走らせる試験を東芝が実施した。東芝製のリチウムイオン電池を車両の座席の下に搭載して、外部からの電力供給がない状態で走行性能を試すのが狙いだ(図2)。 路面電車は通常の電車と同様に、車両の上を通る架空電線(架線)から電力の供給を受けて走る。今回の走行試験では電力を受け取るためのパンタグラフを下げた状態にして、架線からの電力供給を停止した。 蓄電池の容量は24.3kWh(キロワット時)で、同じタイプのリチウムイオン電池を搭載しているホンダの電気自動車「フィットEV」の蓄電容量(20kWh)よりも少し大きい。蓄電池が供給する電力だけを使って、市電の起点になる「鹿児島駅前停留場」から「郡元(こおり