東京五輪・パラリンピックが閉幕し、1カ月が経った。競技施設は今後、「レガシー」として活用されるが、多くで年間維持費が収入を上回る「赤字収支」が見込まれ、埋め合わせには税金が使われ続ける。想定外のコストが判明したケースや、運営のあり方がなお定まらない施設もある。(柴田秀並、伊藤嘉孝) 東京都が巨額の整備費を投じて新設し、大会後も使う「恒久施設」は六つあるが、いずれも今後の維持費の負担は重い。 使用料などの収入から維持費を差し引いた年間収支は、バレーボール会場だった有明アリーナ(年3億5600万円黒字)を除き全て赤字見通しで、5施設で計約10億円。コロナ禍の影響も加えると、どこまで膨張するか見通せない。 赤字額が最大なのは競泳の会場だ。豊洲市場から東に2・5キロ。臨海部のタワーマンション群を望む一角に整備された「東京アクアティクスセンター」は、年6億3800万円の赤字になると試算されている。