測定条件 頭部伝達関数の測定は,清水建設技術研究所の無響室において1996年に行われた. 測定系を以下の図1に示す.被験者は,グラスウールのシートでできた無響室の 床に置かれた,ヘッドレストのついた座椅子型の器具の上に足を伸ばして座った. 無響室にとりつけられたトラバーサは,任意の角度に回転させることが可能で, そのアームにとりつけられたスピーカは,アームに沿って動かすことができる. 結果として,スピーカを,被験者を囲む上半球(半径:1.2 m)上を動くことが可 能である. インパルス応答測定の音源信号には,時間引き延ばしパルス を用いた.被験者の両耳に,小さなエレクトレット型のマイクロホンを,ピアノ 線を用いて固定した.マイクロホンの出力は,アンプによって増幅された後, A/D変換されてDSPにおいて逆フィルタを畳み込んだ.サンプリング周波数は44.1 kHzであり,それぞれの測定点にお