今月はあと六万文字書かなければ〆切に間に合わない。急がなければと思っているのに、筆が進まない。進捗が硬直している。パソコンの画面を見つめる私は、まるでメデューサの眼光に当てられた石像のように動けない。いやいや、今の比喩はよろしくない。レトリックには、必然性がなくては。格好をつけるために意味もなくいい加減な比喩を使うと、逆効果だ。料理の調味料は、少ない分には薄味でまだ食べられるが、多過ぎると全体を駄目にしてとても食えなくなる。過ぎたるは及ばざるが如し、なのだ。あ、また余計な比喩で説明してしまった。ぽかぽか、いけない奴め。 などと悪戦苦闘して、本当に書けない。思考が止まってしまった。頭からは、ぽわわ~~~んという気の抜けた擬音語が蒸発している。ぼんやりしてきて、何もかもがどうでもよくなってしまう。 原稿進まない。集中力がもたない。とりとめもなくネットサーフィンをして、気がつけば何時間も経ってい