それはとても寒く、雪のちらつく大晦日のことでした。ひとりの少女がとぼとぼと道を歩いていました。 「マッチを買いませんか? マッチはいりませんか?」 少女はマッチを売って歩いているようでした。ところが道を急ぐ人々は少女のことなど気にも留めないですし、わざわざマッチを買うような物好きもいませんでした。そしてかわいそうに、少女は防寒着を身に着けておらず、靴も履いていませんでした。 「マッチを買いませんか? マッチはいりませんか?」 それでも少女はけなげに笑顔でマッチを売り続けました。昨日から何も食べていない少女は空腹でふらふらで、足の感覚もなくなってきていました。それでも、マッチを売らずに家に帰ると乱暴な父親にぶたれるため、仕方なく路上に立っていました。 その頃、Twitterでは少女を撮影した画像つきで「街中で女の子が裸足でマッチ売ってるんだけど、買うべき?」というツイートが出回っていました。